
長年出版業界で様々なジャンルの雑誌や書籍の編集に携わってきた三宅川さんは、「本」にとってのいいときから、年々書店が減少していっている今の状況までを見てきました。これからは紙の本ではなく、電子書籍が主流となっていく中、書籍の担う役割は変わっていくと、三宅川さんは考えています。
今回のインタビューでは、「これからの2年で出版界は大変革する」ことを見据え、新しい書籍の価値を提案する事業で創業した当センター利用者の三宅川さんに、創業のきっかけや思いなどを伺いました。
利用者インタビュー:利用者インタビュー:合同会社ジョイント・プロモーション 代表 三宅川 修慶氏
~プロフィール~
合同会社ジョイント・プロモーション代表。
慶應義塾大学出版三田会所属。講談社を経て主婦の友社に編集者として入社。ファッション誌副編集長、書籍編集長を歴任し、約20年間で書籍・ムック約300冊を編集。著名人・著名作家から新人まで幅広く手がけ、多数の出版デビューを実現。テレビ・ラジオ・新聞などメディア出演も多数。「種田山頭火賞」では総合プロデュース等を担当。
2024年に独立し、商業出版および電子書籍のプロデュースを通じて、企業家・専門家の出版と認知拡大を支援している。
合同会社ジョイント・プロモーション HP:https://jointpromotion-web-1.jimdosite.com/
電子書籍プロデュースLP:https://lp.joint-promotion.com/
現在の事業内容について教えてください。
メイン事業は電子書籍のプロデュースです。新卒で大手出版社に入ってから20年以上、あらゆるジャンルの雑誌、書籍の編集をしてきたので漫画と小説以外であればどんなジャンルの本のプロデュースも対応できます。
本屋の減少やコストの上昇で紙の本が先細りしていく中でも「本を出したい」という人は今も大勢います。今後、出版デビューしたい人の最初のゲートになるのが電子書籍になります。「何部売れた!」「印税がいくら入った」という目先のことを目的とするのではなく、「あなたの持っている知見や事業、あなたの人生の価値を広く伝えるために活用しましょう」というコンセプトの元に行っています。読者目線に立った本を出版することで自身の認知を少しでも多くの人に広め、その先の自分や事業の価値向上に貢献していくコンテンツとして活用できるのが電子書籍での出版だと僕は考えています。

創業しようと決めたきっかけは何ですか?
会社に所属している以上、会社の都合で当然やりたくない部署に異動する可能性はいつでもあったので、いつかは独立してやるしかないのだなということは随分前から思っていました。僕の場合は出版社の親会社がかわり、社内のOSが変わってしまった時にタイミングだと思い独立しました。
創業する際に大変だったことは何ですか?
手続き全般です。今までは判子を押して提出するだけで済んでいた税務関係から、何もかも自分でやらないといけない。今はシステムを使えばほとんど印紙代だけで登記ができるというのは追い風に感じましたが、いろんな役所に届けを出すことから始まり、法務局にも何度も行きましたし、どんな税理士さんに頼んだらいいのか探すことなど、とにかく手続きの一個一個が大変でした。
新宿区を事業拠点にしようと思ったのはなぜですか?
23区の創業融資を全部調べたところ、立ち上げの段階だと話も聞いてもらえないことが多い中で、新宿区が一番手厚かったのが1つあります。そこでBIZ新宿にまず相談をしに行くと、僕担当の中小企業診断士がついてくれて、無料で創業の仕組みから融資に関してまで全部教えてもらいました。ここまでやってくれる区は他にはなく、非常に役立ちました。その診断士の方が高田馬場創業支援センターを教えてくれたので、利用を決めました。
今後の事業展開、ビジョンについて
AIの進化によって、自分が持っている他者とは違う部分が浮き彫りになってきました。
商品を売るためのツールの1つが電子書籍だという時代の流れではありますが、いくら優秀なAIを使って本を作ってもツールに頼る限り凡庸な内容になるのは当たり前です。書籍が本来担っていた、価値ある部分を僕ら編集が探し当てて、更に誰が読んでもわかるようにして本にして出すという部分を無視し、目先の売上を立てるだけのアイテムとして使うのではあれば、それは読むに値する内容にはならずに自らのブランドを毀損します。僕にはこれまでの知見やスキルがあり、書籍を作る本人ですらわかっていない価値を見つけて本にする技術がある。僕の技術を下地にAIを使って書籍のクオリティーを上げることで、単に本を出すだけではない、著者のブランディングや将来的に役に立つツールとして電子書籍を作っていくということを示していきたいと思っています。
人員については、営業や集客の部分はプロに任せて役割分担を明確にしたいです。加えて、自分の知識を伝承し、今の時代にあった編集者を育成する場が欲しいとも思っています。これまでは雑誌の編集から始まり様々な経験を経てキャリアを積んでいくことができましたが、雑誌が次々と休刊になっている現在、本の編集者を育成する場所がほとんどありません。AIを使うだけじゃなく、対人コミュニケーションや読解力や言語化というような、僕が地を這うように学んできた編集の細かいスキルや経験値を次代へ伝えていきたいので、同等の立場の編集者を増やすというよりも、育てる形で編集者は増やしたいですね。
創業を目指している方にメッセージをお願いします
自分のやりたいことや思いだけを先行させて創業してしまうと、多分早い段階で破綻するような気がします。始めてからの修正は労力もお金もかかるので、始める前に俯瞰して状況を見ることは大事です。
僕の場合だと、最初は年に何冊か紙の本を出すことを考えていましたが、出版業界の流れはちょっと違うなと感じたので電子書籍にシフトして事業を始めました。「自分がいいと思うもの」が「世間が支持してくれるもの」とは限らないということを念頭に、理念だけで突っ走るのではなく、よく周りを見極めることが大事です。