映像作家・モーショングラフィックデザイナー・講師・ラジオパーソナリティ、そしてオペラ歌手でもある山本さんのお仕事内容はとても多彩です。それは「山本さんなら」という信頼から依頼され、その一つ一つに真摯に応えてきた結果にすぎません。
今回のインタビューでは、映像プロダクションという枠にとらわれない事業をされている当センター利用者の山本さんに、創業のきっかけや思いなどを伺いました。
株式会社彌榮 代表取締役 山本 輔氏
~プロフィール~
映像作家・モーショングラフィックデザイナー。2015年「彌榮制作-Production YiYasa」を創業。
TVCMや企業プロモーション映像、ミュージッククリップ、インスタレーションなどを手がける他、VJ(ビジュアルジョッキー)として、歌舞伎町、神田他様々なアート/クラブイベントに定期参加。また、渋谷・青山・日本橋で開催する動画・モーショングラフィックスの学校「BYND」の講師として登壇・カリキュラム開発を含め後進の育成にも尽力する。その他、音楽と映像の融合に向けた活動を中心に、テレビタレント、ラジオパーソナリティ、舞台(オペラ)、スチールカメラマン、企業研修など幅広く活動中。
2023年、株式会社彌榮を設立。
株式会社彌榮 HP:https://www.yiyasa.jp/
現在の事業内容について教えてください。
映像制作が主な事業ですが、最初からそう決めていたわけではありません。「なんでもやる」と言い続けた結果、依頼される仕事に映像が非常に多くなり、結果的にそうなりました。映像だけにこだわらず「メディアを作る」ことも大切にしています。
人に覚えてもらうこと、声をかけてくれたものに誠実に応えることが仕事に繋がるので、会社名も、自分の活動も全てブランディングだと思っています。会社名の「彌榮(いやさ)」は地元のお祭りのかけ声であり、言葉自体が「末永く栄える」といった意味があり、その願いを込めました。映像制作の業界ではカタカナやアルファベットの屋号が多いため、その中でインパクトを残したいという狙いもあります。モーションデザインの教本を今年初めに出版したことも、「小説家になりたかった」「物書きになるのが夢」という話をしていたことで、出版に関わる方から声をかけてもらえたことがきっかけです。
創業しようと決めたきっかけは何ですか?
会社員を辞めてフリーランスとして始めた事業が、気がつくと映像制作だけでなく、講師、俳優やラジオパーソナリティと、請ける仕事が多岐にわたるようになり、「個」が大きくなりすぎていました。一緒に仕事をする仲間も増えてきたので、個人として仕事を請けることと組織として仕事を請けるということを明確に分ける必要性を感じていました。さらにクライアントからの要望もあり、法人化することにしました。法人化したことで、僕個人が会社に所属しているという立ち位置で捉えることができるようになりました。見積もりなども分かりやすくなり、仕事の依頼をしてもらいやすくなったと思います。
創業する際に大変だったことは何ですか?
コロナの頃、あらゆるイベントやセミナーが配信になり、映像制作の需要が増えて売上が上がっていましたが、法人化と同時に世間のコロナ対策などが一通り落ち着いたため、売上も落ちてきてしまいました。今考えると特需でした。そのため、法人化したものの、それによる税金などのメリットにあまり実感がもてない状況ではありますが、ここから挽回していきたいです。
手続きなどは何もかもわからなかったので全て税理士さんにお任せしてしまいました。僕は映像を作る以外のことができないので、本当に皆さんに助けてもらっています。
新宿区を事業拠点にしようと思ったのはなぜですか?
僕も妻も早稲田大学の出身で高田馬場に思い出があります。夫婦共に地方出身で、大好きなマンガの舞台が新宿ということもあり、山手線の中、特に新宿区にいつかは住み、会社を持つということを目標にしていました。そのため高田馬場や新宿に対する思い入れはとても強いです。今はやっと達成したぞという気持ちです。
今後の事業展開、ビジョンについて
「夢を持つ」とか「野望を持つ」ということはあまり思っていないのですが、僕が世の中を見ているように、世の中も必ず僕を見ているので、依頼されたことは絶対にできるものだと僕は信じています。何であっても依頼を受けたものはこれからも誠実にこなしていこうと思います。オペラ歌手でも、ラジオパーソナリティでも、ギターを弾くであっても、頼まれたからにはやるという覚悟でいます。
創業を目指している方にメッセージをお願いします
創業って 「すごい野心がないとできない」とか、「凄い人じゃないとできない」と思い込みすぎている人もいる気がします。そんな情熱的な想いではなくても、1つの手段、1つの選択肢としての 「創業」があるということは知ってもらいたいです。勤め人じゃない生き方をしても、社会はちゃんと守ってくれる。施設も制度も仲間もいるし、やってきている人がいる。「大丈夫だぞ」って伝えたいです。