利用者インタビュー:株式会社Genics 代表取締役 栄田 源氏

利用者インタビュー:株式会社Genics 代表取締役 栄田 源氏

現在に至るまで「歯を磨く」という行為はまだまだ人間の手で行っていますが、ここにロボット技術を活かすことで、誰もが簡単に「健康を維持して豊かな生活」を送るための支援が出来ると栄田さんは口腔ケアロボットを研究開発しています。

今回のインタビューでは、開発したロボットを活用した健康支援を考え起業を決断した当センター利用者の栄田さんに、創業のきっかけや思いなどを伺いました。

株式会社Genics 代表取締役 栄田 源氏

~プロフィール~
早稲田大学先進理工学研究科修了。ロボット工学専攻。
在学中にWASEDA-EDGEプログラムを通して起業に興味をもち、2018年株式会社Genicsを設立、ロボット技術で人々の生活を豊かにすることを目指す。
2019年1月にアメリカラスベガスで開かれた CES2019で次世代型全自動歯ブラシを発表。
ロボットの研究で培った知識で子供へのロボットを活用した教育にも従事。

株式会社Genics HP:https://genics.jp/

現在の事業内容にいて教えてください。

全自動歯ブラシと口腔マッサージ、口腔トレーニングの機能を持つ口腔ケアロボット「g.eN(ジェン)」の研究開発と販売を行っています。

口の健康は日本でも最近、重要視されてきました。歯磨きに至る前に「口を開ける」「口に物を入れる」「唾液を出す」といったことが難しいと、食事や発話ができなくなることがあります。「g.eN」はアタッチメントを替えることで歯磨きだけでなくマッサージやトレーニングも行い、いつまでもご飯を美味しく自分の口で食べてもらう支援を行っています。今年3月から正式に販売を開始しました。最初はメインターゲットを自身で歯を磨くことが困難な障がい者、子ども、高齢者の方にして口腔ケアをサポートするためのソリューションとして提供していましたが、最近は歯科クリニック経由で誰でも購入できるようになりました。
利用者インタビュー:株式会社Genics 代表取締役 栄田 源氏

創業しようと決めたきっかけは何ですか?

大学でロボット工学を専攻していたのですが、これまで数多くのロボット研究がされているものの、社会実装されずに研究室の中で埃を被っている物が多くあるという現状を目の当たりにしました。そんな時に理系向けの起業支援の授業があり、折角研究して何か新しい物を作るのなら、実用化して人々に届けるところまでやりたいと思ったのが起業のきっかけでした。

全自動歯ブラシのアイデアは起業を目指してから、「ロボットで社会貢献するには何がいいか」を考えて出てきたものです。健康に影響する日常的な行為且つ、これまで誰もやっていないようなことを探して辿り着きました。今のテクノロジーの社会においても、歯を磨くことは未だに人間が自身の手でやっています。これをロボット技術を使って拡張すれば、誰でも共通してより良い健康な生活をする支援ができると思い開発を始めました。
利用者インタビュー:株式会社Genics 代表取締役 栄田 源氏

創業する際に大変だったことは何ですか?

人脈がないところが一番大変でした。チャレンジを続けてきたので、みんなが応援してくれる環境は最近整ってきましたが、当初はメンバー集めや、自分がやっていることを共感してもらうのに苦労しました。

研究室の先生にも株主として入って頂き、博士課程に在籍しながら研究をして社会実装も行うという、研究の先にビジネスがある形で進めていきました。研究開発はロボット関係の学生さんや協力者を集めて、ビジネス的な部分は別途協力者を募っていくという感じに研究開発と販路を完全に分けて自分がハブになって両方を見ているのですが、早稲田大学には医学部や歯学部がないので、販路開拓に苦労しました。

新宿区を事業拠点にしようと思ったのはなぜですか?

所属する早稲田大学が新宿区に立地しているので、早稲田に根付いて、ここから世界に発信していくということがコンセプトとしてあります。大学の施設を拠点としていますが、この近辺の経営者の方と出会う機会はほとんどありませんでした。ビジコンの副賞で高田馬場創業支援センターを使うことで色々な人と知り合って何か一緒にできるといいなと思っています。

今後の事業展開、ビジョンについて

口の中は多くの情報が含まれているので、その情報を取得して活用することによって全身の健康維持に繋がっていきます。歯磨きを通して口腔のデータを取得し、その人にあった健康サポートをするプラットフォームを作り上げたいと考えています。

また、子ども向けや海外向けといったようにアタッチメント部分の種類を増やして、いずれは世界展開ができるプロダクトにして行きたいです。

創業を目指している方にメッセージをお願いします

自分が興味のあること、やりたいことが一つでも見つかって、チャレンジしたい気持ちがあるのであれば、今後のリスクなどは意外と考えなくても大丈夫なので、すぐに一度チャレンジしてみるといいです。体力的な部分はもちろん、他にも様々な要素がありますが、「その時にしかできないこと」はかなりあると思っています。それにチャレンジした経験は、どんなことでも後々の自分の価値に反映されるので、まずは飛び込んでみてください。