OBインタビュー:DREAM PARK株式会社 代表取締役 朴 相範 氏


OBインタビュー:DREAM PARK株式会社 代表取締役 朴相範氏

新宿区内の大久保駅・新大久保駅周辺は、近年のブームによりコリアンタウンへと遊びに来る若者でにぎわっていますが、実はベトナム系の飲食店が都内で密集するエリアでもあります。
そんな大久保駅の目の前にあるビルの一室が、朴さんが運営する日本初の来日ベトナム人向けフリーペーパー「Ja-Vi times」の編集部です。
最近、来日するベトナム人の急増がさまざまなメディアでも話題になっており、当センターでも「ベトナム関連のビジネスで創業したい」という相談を多く受けるようになってきました。
今回は未知の領域へも恐れずに突き進む朴さんに、創業のきっかけやその経緯などをインタビューしました。

DREAM PARK株式会社 代表取締役 朴 相範 氏

~プロフィール~
【2017年11月 高田馬場創業支援センター利用終了】
1973年、韓国ソウル出身。97年に来日し、アルバイトをしながら日本語学校に通う。大学に進学し、卒業後に建設会社に就職するもその会社が倒産。いくつかの創業経験を経た後、メーカー兼商社に転職する。入社2年目にベトナム支社への転属となり、5年間のベトナム駐在を経て日本へ戻った後に退職。創業準備のため2017年より新宿区立高田馬場創業支援センターの利用を開始し、同年10月にDREAM PARK株式会社を設立。新大久保に拠点を構え、その翌月にセンター利用を終了する。2018年1月より、初の在日ベトナム人向け生活情報新聞「Ja-Vi Times」を発行。現在に至る。

会社住所:東京都新宿区百人町2-27-3第二橋本ビル5F
会社HP:http://dreampark.biz/

 
 
 

現在の事業内容について教えてください。

在日ベトナム人向け生活情報新聞「Ja-Vi Times(ジャヴィ・タイムス)」を発行しています。「Ja-Vi Times」は月刊のフリーペーパーで、基本的には広告収入を元に運営しています。
掲載内容は来日したベトナム人が必要とする住居や通信関連(スマホ等の契約)やアルバイトのための派遣会社といった、彼らが興味を持ちそうな情報の広告掲載がメインです。

広告以外の部分では、新宿区で生活するベトナム人が多く、特に日本語学校が集中している大久保や高田馬場エリアの飲食店マップも掲載していますし、ベトナム関連のニュース、行政の手続きや生活ガイドといった情報も扱っています。

創業しようと決めたきっかけは何ですか?

前職でのベトナム駐在を経て日本に戻って来た時に、日本に以前いた時と比べてベトナム人の数が圧倒的に増えていることにとても驚きました。
現地で過ごすうちにベトナムが大好きになったということもあり、ここにビジネスチャンスがあるのではないかと感じて、在日ベトナム人向けのビジネスで創業しようと思い立ちました。

そこからビジネスモデルについて検討をして、自分が初めて日本に来た時には馴れない生活がいろいろと大変で、そんな時に韓国系のフリーペーパーを片手に頑張った学生時代を思い出しました。
さらに、ベトナム人向けではまだそのような媒体がないということを知り、最終的に現在のフリーペーパーという形にたどり着きました。

OBインタビュー:DREAM PARK株式会社 代表取締役 朴 相範 氏

創業する際に大変だったことは何ですか?

「Ja-Vi Times」の創刊について言えば、そもそも私が編集や出版に一切関わったことがなく、完全にゼロからのスタートだったため、第一号を完成させるまでが本当に大変でした。
実績もないので説明のためにスポンサーに見せられるものもなく、最初は知り合いのベトナム人にお願いに回ってスポンサーを増やしていきました。

ある程度スポンサーが集まってきて、紙面が形になってきた後も、今度は配布できる場所がないので、置いてもらえる場所の確保のためあちこちに走り回りました。
大久保のベトナム系飲食店を中心に、日本語学校やベトナム人が集まりそうな場所へ、「お店の入り口の片隅でいいので置かせてください」とたくさんの場所へお願いに行きました。

反応として「なぜ韓国人のあなたが日本でベトナムの仕事をするのですか?」といった声も一部ではありましたが、ほとんどの方が好意的に受け入れてくれ、日本に住むベトナム人のコミュニティーも快く協力してくれました。
さまざまな人々と出会い、そこからさらに紹介の輪が広がり、本当にたくさんの人たちが協力してくれました。
そういった人たちの協力がなければ「Ja-Vi Times」は完成しなかったと思います。

テレビや新聞など、いくつかのメディアでも紹介していただき、今年の1月に3,000部からスタートしたのが、最大時では10,000部まで増やすことができました。
現在は、新宿エリアを中心に学校関連で15カ所、飲食店で30カ所くらいに置かせてもらっています。

OBインタビュー:DREAM PARK株式会社 代表取締役 朴 相範 氏

新宿区を事業拠点にしようと思ったのはなぜですか?

最大の理由は、新宿区がベトナム人を含めた外国人が日本で最も集まっている地域だということです。

新宿~高田馬場エリアは、最近ブームになっている大久保の韓国人街を始めとして、周辺だけで200を越える日本語学校があり、さまざまな国の人々が集まっています。
また、自分が学生時代からずっと住んできた生活拠点でもあり、ここは第二の故郷だと思っていますので、来日して間もない外国人を対象としてビジネスをするからには、どんなビジネスにせよ拠点は新宿にしようと最初から決めていました。

今後の事業展開、ビジョンについて

一番の目標はもっと多くの人に読んでもらえるようにすることですが、まず近い目標としてはこの「Ja-Vi Times」をWeb化して、どこからでも見られるようにすることです。
これについてはIT導入補助金にも採択されたので、年内を目標に進めています。

フリーペーパー事業はやはり大変で、何とか善戦しつつという感じです。
それでも「役に立った」「ありがとう」と言ってもらえることが嬉しくて、続けるだけの価値があるものだと思っています。
問い合わせも最近増えてきて、ベトナム関連のさまざまな団体や企業とつながり、ベトナムフェスやベトナム映画祭へも出店することができました。
また、先月は新大久保商店街で行われる「大久保まつり」に、初めてベトナム人チームがパレードに参加することになり、そのためのバックアップも出来ました。
現在、大久保エリアの商店街で、店を経営しているさまざまな外国人の代表が集まる会議があるのですが、今年の5~6月頃か私もオファーを受けて、なぜかベトナム人側の一人として参加しています(笑)

今後は、情報の提供だけでなくもっと実際に手助けが出来るよう、ベトナム人が飲食店を出す時や来日時の手続きのサポートなどお互いに助け合えるような協会も立ち上げられたらと思っています。

OBインタビュー:DREAM PARK株式会社 代表取締役 朴相範氏

創業を目指している方にメッセージをお願いします

私は準備が全部できてから動くのではなく、思いついたらすぐに動いてしまうタイプです。
リスクが少ない方がいいのはもちろん分かっていますが、何事も最初から完璧なことはありませんし、慎重過ぎるのもよくないと思っています。
だから、自分がいいと思ったことは基本的に何でもやるように決めています。
その分、フットワークには自信があるので、自分を信じてまず行動し、何かあったらその度に対策を立てるようにしています。

そして周囲の人をどんどん巻き込み、皆さんに助けてもらいつつ、しっかりとコミュニケーションを取る。
会社でも何でも結局は人間なので、気持ちは言葉にしないと伝わりません。
失敗したらしっかりと謝り、ありがたい時はちゃんと感謝の気持ちを口にすることが大事だと思っています。

これから創業することを迷っている方がいるのであれば、やらないで後悔するくらいなら、やって後悔した方が絶対にいいと思います。