利用者インタビュー:株式会社 OHANA 代表取締役 棚木 悠氏

利用者インタビュー:株式会社 OHANA 代表取締役 棚木 悠氏

ネット上には沢山の動物たちの動画や記事があり、これらは日々私たちに癒やしを与えてくれます。かつて海外営業をしていた棚木さんも、そんな動画に癒やされていた一人でした。しかし、そんな動物たちを応援できるプラットフォームは、実はあまり存在しないというのが現状です。

今回のインタビューでは、オンラインで世界中の動物たちを応援したいと起業を決断した当センター利用者の棚木さんに、創業のきっかけや思いなどを伺いました。

株式会社 OHANA 代表取締役 棚木 悠氏

~プロフィール~
福島県出身。
キルギス共和国で日本語教師を経験後、日系企業で海外営業を4年経験。米国、アジア・オセアニアを中心に10か国での業務経験を有する。
その後、PR会社勤務を経て、株式会社OHANAを創業。
オランウータンに恋している。

Hello!OHANA:https://app.helloohana.co.jp/

現在の事業内容について教えてください。

全国の動物園・水族館で暮らす動物たちに「食事」をプレゼントすることで、動物たちの成長を応援できる「Hello!OHANA」というサービスを運営しています。このサービスでは、好きな動物に旬の食べ物を贈ることができ、実際に動物たちが食べている動画も受け取ることができます。今月からは食事だけでなく医療費や生活費も含め「家族」として長期的に応援できる「OHANA SHIP(オハナシップ)」という新サービスも始まりました。動物たちの家族になると、限定のふれあい体験、命名権、家族の証明書といった特典を受け取ることができます。

利用者インタビュー:株式会社 OHANA 代表取締役 棚木 悠氏

「OHANA」とはハワイの言葉で「家族」という意味があり、サービスを利用する皆さまが、家族のように大切に思う動物に出会える場所にしたいという思いで「Hello!OHANA」というサービス名にしました。

創業しようと決めたきっかけは何ですか?

以前は海外営業をしていましたが、コロナ禍になり他の仕事を考えるようになった頃、入園料や物販の収入がなくなった動物園や水族館が閉園に追い込まれ、引き取り手の見つからなかった動物が亡くなってしまうという痛ましい報道を目にしました。私自身も含め世界中に動物のファンはたくさんいます。このファンの力を使って、動物たちの日々の暮らしや成長を社会全体でサポートしていくことができないかと思いましたが、当時はまだ起業には踏み込めませんでした。ちょうどその頃に愛媛県でアクセラレーションプログラムを募集していて、事業のブラッシュアップと採択の機会に恵まれたことで起業に踏み切りました。これまでも副業でいくつかの事業をしていたものの、どれも継続できず不安な部分もありましたが、動物に対する想いや業界の課題感を強く感じていて、熱意を持って向き合っていけるという自信も、きっかけになっていると思っています。

創業する際に大変だったことは何ですか?

はじめはどれくらいの資金が必要で何が足りなくて必要なのかもわからない状態でした。動物園・水族館や動物に届ける農産品の生産者さんとの繋がりもありませんでしたが、愛媛県のご紹介で地域の水族館や生産者さんの協力を得ることができました。また、全国の動物園・水族館にメールや資料を送り、返信を頂けた施設を訪問しながらテスト的な運用を1年程行い、去年10月にやっとサービスを開始することができました。現在は、動物園・水族館とのコミュニケーションやサイト運営、SNS更新なども基本的に一人でやっているので大変ですが、自分で考えながら動くことのできる環境はとても合っていると感じています。ただ、事務処理をつい後回しにしてしまうので、バックオフィス面の抜けが多いことが今後の課題になっています。

新宿区を事業拠点にしようと思ったのはなぜですか?

以前は自宅で作業をしていましたが、こもりきりでいるのが心身に良くないと感じ、外にオフィスを探していた時に高田馬場で事業をしている知人から高田馬場創業支援センターを紹介して頂きました。新宿区はスタートアップも沢山集まる場所ですし、アクセスもすごく便利で、全国への出張が多い身としては立地もいいので使わせて頂いています。また、交流会などで同じフェーズにいらっしゃる方の状況や意見を聞けることもモチベーションになりますし、会話ができる環境の大切さをかみしめています。

今後の事業展開、ビジョンについて

一人でできることには限界があるので、「Hello!OHANA」を世の中に広めていくために、今後は仲間になってくださる方を積極的に見つけにいきたいと思っています。

サービス面では、日本にいながらも世界中で暮らす動物たちに出会い、応援できる仕組みを作りたいと考えています。今年の7月からは、マレーシアにある野生のマレーグマの保護施設も加わり、普段は会うのことできないマレーグマへのご支援も増えてきており、海外への挑戦の後押しとなっています。ここからも、この温かい応援の輪をますます広げていきたいです。

創業を目指している方にメッセージをお願いします

勢いや情熱が高まった時に起業するということも大事だとは思いますが、今は副業に寛容な企業さんも増えてきているので、起業したいテーマがあったら、まずは本業と並行して副業的に始めてみて、その事業を本業にしてもやっていけるというタイミングで会社を作るという選択肢もあるのではないでしょうか。

迷っている時は、高田馬場創業支援センターのように、自治体の支援が手厚かったりもするので、窓口に話を聞きに行ったり、周りのサポートを見つけて入ってみると背中を押してくれると思います。