利用者インタビュー:株式会社Fafuri 代表取締役 丸山 恭子氏

成人式や結婚式などの華やかな場のファッションアイテムとして昔から用いられている「ファーショール」。しかしこれまでのファーは動物達の犠牲の上で作られていました。このままではいけないと、丸山さんは未知の世界へと足を踏み入れたのです。

今回のインタビューでは、エコファーを通じて「動物を犠牲にしないファッション」を提唱している当センター利用者の丸山さんに、創業のきっかけや思いなどを伺いました。

株式会社Fafuri 代表取締役 丸山 恭子氏

~プロフィール~
専業主婦として介護と子育が中心の26年間を経て7年前に社会復帰。50歳を過ぎてから働く楽しさを知り、生涯現役であり続けたいと思うように。
そんな中、エコファーショールの事業に出会い、経験不足を感じながらも起業セミナーなどを通じて学び、起業へと一歩を踏み出す。頼りになるビジネスパートナーは、愛する娘。
第3回東京シニアビジネスグランプリファイナリスト。

株式会社Fafuri HP:https://www.fafuri.com/

現在の事業内容について教えてください。

動物福祉の観点から、毛皮にかわる成人式用のエコファーショールを作っています。日本には世界をリードするエコファーの製造技術があるにもかかわらず、日本製として販売している物がなかったので、商品のデザインから生産に至るまでの全工程を日本国内で実施しています。現在はオンライン販売のみですが、呉服店など販路確保にむけての準備も行っています。

毛皮がどのように作られているのか、そして「動物福祉」という考えは余り知られていないのが現状です。そこで成人式という節目のイベントに身につけるエコファーショールを通して、動物福祉を自分事として考えてもらうきっかけに出来たらと考えています。

創業しようと決めたきっかけは何ですか?

娘の成人式の時、着物や帯といった一式にこだわりを持って選びましたが、最後まで迷ったのが「ショール」でした。結果として毛皮を購入しましたが、「本当に動物を犠牲にした選択で良かったのだろうか」という疑問と後悔が心に残り続けました。その後娘と一緒に毛皮について調べたところ、製造過程での動物達へのひどい扱いを知り、このまま毛皮を使い続けるのはよくないことだと感じました。ところがその当時どれだけ探しても高品質なエコファーショールを見つけることが出来ず、私達親子と同様に仕方なく毛皮を購入している人々の現状にも直面しました。

そこで、毛皮に引けを取らない品質の高い日本製エコファーショールを自ら製造することを決意し、起業することにしました。

創業する際に大変だったことは何ですか?

未経験の世界でしたので知識も経験もなく、何から始めるべきなのかもわからない状況でした。そのため東京創業ステーションに通いつめて、毎日行われているセミナーに年間100回以上参加したりして、まずは知識を身につけることから始めました。

また、エコファーショールを製造してもらう工場を見つけることも大変でした。新聞を通して知った高度な技術を持つ工場には、最初全く相手にしてもらえませんでした。そこで動物福祉に詳しい大学の先生にお話を伺い知識を深めた上で、何度も何度も交渉し、ようやく製造してもらえることになりました。

新宿区を事業拠点にしようと思ったのはなぜですか?

元々新宿区に住んでいることと、今の職場が高田馬場にあるので、仕事終わりでも通いやすいのが一番の理由です。高田馬場創業支援センターも色々調べている過程で知り、セミナーにも参加していたのですが、何よりわからないことがあった際に聞ける人が近くにいるのが魅力で選びました。

今後の事業展開、ビジョンについて

まずは販路を確保することです。ショールには「成人式にしか使えない」という課題があったため、デザインの見直しを行い、普段使いや結婚式での洋装にも適した使い方ができるよう工夫しました。これを強みに来年の成人式に向けて、これから営業を行っていきます。

 

さらにエコファー加工の特性を生かして、今後は様々なカラーバリエーションを揃えていく予定です。そのため、現在は工場に依頼している縫製も、いずれは自分たちで行えるようになりたいと考えています。そうして製造販売と動物福祉に関する発信を全て一括ですることでエコファーの意義を広めていけたらと考えています。

創業を目指している方にメッセージをお願いします

特定創業支援等事業のような創業時に役立つ資格は見つけたタイミングで取得しておくといいと思います。申請時に必要でもすぐに取れない資格があったりしても焦らずに済むので、事前の下調べと要件の確認は大事です。

セミナーやコミュニティに参加することもおすすめです。知識を身につけることだけではなく、たくさんの仲間に出会うことが出来ます。同じように創業を目指す仲間と励まし合い、悩みを打ち明けながらやっていると、大変でも頑張ろうと思えてきます。