利用者インタビュー:株式会社ライフメディア 代表/ライター 尾越 まり恵氏

利用者インタビュー:株式会社ライフメディア 代表/ライター 尾越 まり恵氏

人生にはいくつもの岐路があり、選択を迫られます。その時人はどんな決断をしたのか。そのインタビューを記事にしたメディアを今年4月に立ち上げた尾越さん。尾越さんもまた、会社員、フリーランスを経て会社を作るという決断をされました。

今回のインタビューでは「書くこと、文章が好き」だからこそ、自分達の企画したメディアを立ち上げ運営することを選択した当センター利用者の尾越さんに、創業のきっかけや思いなどを伺いました。

株式会社ライフメディア 代表/ライター 尾越 まり恵氏

~プロフィール~
同志社大学文学部を卒業後、株式会社リクルートメディアコミュニケーションズ(現在はリクルートに吸収合併)に勤務。ブライダル情報誌『ゼクシィ』の制作に携わり、主にプロジェクトマネジメントを担当。2011年3月末に退職し、フリーランスのライターとして活動。『日経トップリーダー』『日経ビジネス』などのビジネス系を中心に、雑誌、WEB、書籍のライティングを手がける。2022年1月にライフメディアを設立。同年4月に、自分らしく生きるための決断を応援するWEBメディア「わたしの決断物語」を立ち上げ、運営中。

株式会社ライフメディア HP:https://life-media.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/life_my_decision/
Twitter:https://twitter.com/life_media2022
YouTube:https://www.youtube.com/@user-xg4zf6hp8f

現在の事業内容について教えてください。

事業は2つあり、1つは受託のライティング業です。出版社や新聞社などから依頼を受けてWebメディア・書籍・雑誌などの記事を書いています。メインはビジネス関係で、経営者の方にお話を聞いてインタビュー記事を書くことが多いです。

もう1つは自社メディア事業で、「わたしの決断物語」というWebメディアを2022年の4月から始めました。「自分らしく生きるための決断を応援する」をコンセプトに、自分たちで企画し、取材者選定、取材、執筆をしています。人生のさまざまな岐路での決断を紹介し、それが誰かのヒントになればいいなと思っています。

創業しようと決めたきっかけは何ですか?

もともと文章を書くことが好きだったので出版関係の仕事に就きたいと思っていました。大学卒業後はリクルートの制作会社に入社し、雑誌を作るための進行管理やプロジェクトマネジメントを担当。全体を俯瞰できるプロマネの仕事は楽しかったのですが、社内の論文コンテストで入賞したのをきっかけに「私は文章が書きたかったんだ」と立ち返って、31歳の時に退職、フリーランスのライターになりました。未経験からライターとして必死にやってきて10年、ようやくスキルや実績が蓄積され手応えを感じられるようになった時に、「40代の10年間をどう過ごそうか」と考えて、新しいことをやりたいな、と。

受託で記事を書くだけでなく、メディアを立ち上げて、コンセプト作りや企画運営に挑戦してみたいと思うようになりました。そして、ゆくゆくは書籍も出せる出版社になれたら、と考えていた時期と、以前から「一緒に何かできたらいいね」と話をしていた取締役の岸が、新たなキャリアを考えるタイミングが重なったんです。「一緒にメディアを立ち上げたら面白いことができそう!」ということで、岸は当時勤めていた広告代理店を退職、2022年1月に2人で会社を設立しました。2人だからこそ、創業に踏み切ることができました。私だけではフリーランスのままだったと思います。

利用者インタビュー:株式会社ライフメディア 代表/ライター 尾越 まり恵氏・取締役 岸のぞみ氏

創業する際に大変だったことは何ですか?

手続きがまず大変でした。社外の友人が手伝ってくれたのですが、細かい違いの書類がたくさんある上に基本的にアナログなので、ひたすら住所と名前を書き続けた記憶があります。そうして作成した書類を提出するために、1日中、都税事務所や税務署、年金事務所などいろいろな場所をハシゴして回りました。フリーランスにはない手続きの多さに驚いたのと同時に、法人を世に生み出す責任の重さも感じました。

ITの知識がない中でWebメディアを組み立てていくことも大変でした。4月1日にスタートすることは決めていたので、限られた予算と時間の中でできることの取捨選択をする必要がありました。最小限の機能でスタートしたので、これからコンテンツを充実させていくとともに、読者の方とコミュニティを作るような機能も追加していけたらと思っています。

新宿区を事業拠点にしようと思ったのはなぜですか?

「出版社になりたい」と考えた時に思い浮かんだのは、千代田区、文京区、新宿区でした。自宅登記も考えましたが、やはり会社としての住所が欲しかった。会社設立準備の過程で自宅のある新宿区の産業振興課に創業相談に行った時に、高田馬場創業支援センターを紹介されたんです。金額の安さもですが、会議室もコピー機も使えて、さまざまな相談にも乗ってもらえる。加えて夜型の2人なので24時まで使えるというのもありがたく、利用申請することにしました。新宿区の中でも神楽坂が好きなので、いずれは神楽坂に出版社の機能を持った本社を持ちたいと思っています。

今後の事業展開、ビジョンについて

まずは自社メディアを収益化するために認知度を上げたいです。今は有料記事と、読者からの投げ銭が収益になっていますが、いずれは広告掲載や企業とのタイアップ記事なども展開していきたいと考えています。メディア運営をしたくて会社を作りましたが、今は受託が主な収益となっていて、メディアに費やせる時間は限られてしまっているのが現状です。メディアが収益化できれば、新しい企画を考えたり、より多くの人に読んでもらえるよう、記事の質を上げたりすることにもっと時間を使うことができます。

利用者インタビュー:株式会社ライフメディア 代表/ライター 尾越 まり恵氏

新型コロナの影響で、オンラインで取材が手軽にできるようになったことは、メディア運営には追い風です。おかげで、2人で週に3本のペースで記事を更新することができています。4月から始めて、12月末には掲載した決断が100人分を超えます。2024年には書籍化も考えています。夢のような話ではありますが、書籍のシリーズ化や、ドラマ化、映画化なども実現できたらいいなと思っています。

高田馬場創業支援センターの利用申請のために、初めて事業計画書を作り、「3年後、どうなっていたいか」を真剣に考えることができました。今の時代を生きている人たちのリアルな思いを残していきたい。ビジネスとしてきちんと成立させ、継続して一人ひとりの人生に寄り添っていけるメディアに育てていきます。

創業を目指している方にメッセージをお願いします

私は、フリーランスから法人化という選択をしました。まだ1年ですが、やっぱり起業し会社運営していくのは大変です。だから、別に起業がすべてじゃないし正解でもない。ただ、もし世の中に出したいサービスや商品があるなら、起業はそれを叶えるための1つの選択肢になるので、ぜひチャレンジしてみてほしいなと思います。会社を設立した今、会社員やフリーランスのときには見えなかった景色がたくさん広がっています。それは、実際に行動したから見えたものだと思います。

もう1つ大事なのは、自分1人でやろうとしないことです。周りを見渡したら、さまざまな分野のプロがたくさんいて、みんなが助けてくれました。1人でできることには限りがあるので、それぞれの分野に強い人の力を借りるのが一番です。その恩を今度は自分の得意分野で返していければいいのかなと思っています。